本研究の目的は、産褥早期の女性に対する会陰部温罨法の効果を検証するための基礎的研究として、会陰部温罨法による体温への影響と疼痛緩和効果を検証することである。最終年度となる2019年度では、施設形態によらず実践可能な温罨法プログラム開発に向けて、全国の産科医療施設の助産師を対象とした自記式質問紙調査を実施した。3200施設に配布し、有効回答の得られた867部を分析の対象とした。会陰部へのケアの実施状況について、「いつも実施している」「時々実施している」の割合が多かったケア項目では、病院・診療所は鎮痛剤の使用と円座の使用であり、鎮痛剤の使用は病院98.7%(379名)、診療所95.3%(341名)、円座の使用は病院97.9%(376名)、診療所98.0%(351名だった。一方助産所では円座の使用が最も多く58.3%(70名)であり、次いでオイルの使用32.7%(39名)、湯洗浄26.7%(32名)であった(表1)。さらに助産所では会陰部へのケアとして温熱療法や温灸、アロマオイル・スプレーの使用、ホメオパシー療法など多岐にわたっていた。本研究の結果から、会陰部に対するケアとして、病院・診療所では類似したケアの実施状況であり、鎮痛剤や円座の使用が主であること、助産所では病院や診療所と比べ、様々な方法が実践されていることが明らかとなった。温罨法については病院・診療所ではほとんど実践されておらず、助産所のほうが実践されていた。今後は助産所での実践内容を明らかにし、施設形態によらず実践可能な温罨法プログラム開発につなげていく必要性が示唆された。
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