近年、生活様式の変遷が、若年女性の最大骨量の獲得やその骨量維持に影響を及ぼしていることが報告されている。カルシウムやビタミンD、ビタミンKといった栄養素の過不足を客観的に把握し、それらの骨量ならびに骨代謝動態に及ぼす影響を調べた報告は極めて少ない。よって、本研究では、若年女性を対象とし、栄養摂取量の過不足や身体活動量などの生活習慣が骨量と骨代謝動態に及ぼす影響を調べた。女子大学生194名を対象に、身体的特徴、生活の状況を把握し、超音波骨量測定装置を用いて骨量を測定した。低骨量群(YAM値<-1.0SD)と分類された16名と正常骨量群31名の骨代謝マーカー(OC、BAP、P1NP、TRACP-5b)及び骨代謝関連ホルモン(副甲状腺ホルモン;PTH)、骨代謝栄養関連因子(ucOC、25OHビタミンD)を測定した。 結果、低骨量群の対象は23名(11.9%)であった。低骨量群は正常骨量群よりOCとP1NPが有意に高値であった。ucOCが4.5ng/ml以上の群はOCとTRACP-5bが有意に高く、25OHビタミンDが不足している群はBAPが有意に高かった。低量群は正常骨量群と比較しucOCが高い傾向があった。これらのことから、ビタミンD、ビタミンKの不足が骨代謝を高回転型に誘導し、骨量の低下につながっていることが示唆された。また、朝食を摂取する頻度が高いほど、カルシウム・マグネシウム・ビタミンKの摂取量が有意に多かった。食生活のリズムが規則正しい群は不規則な群と比較し有意にビタミンDの摂取量が多かった。若年女性において骨密度の維持には各栄養素の摂取が必要であり、規則正しい食生活を指導することが有効であると考えられた。 今年度は、本研究結果を広く周知させるために、英語論文にして投稿する準備を行った。
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