正常経過をたどる妊娠末期の妊婦における、①睡眠時呼吸障害の有無と夜間酸素飽和度プロフィールの特徴、②夜間酸素飽和度プロフィールと加速度測定値との関係、③夜間酸素飽和度プロフィールと自覚的睡眠障害、精神健康度、妊娠予後との関係を明らかにすることを目的とした。対象者は、妊娠34-37週の正常妊婦103名である。基本情報・睡眠日誌・ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)・エプワース眠気尺度(ESS)・精神健康調査票GHQ28への回答記載、夜間睡眠中にパルスオキシメータおよび加速度計(アクチグラフ)の装着を依頼した。 計画通り、100名以上のデータ収集を完了した。分析を行い、以下の結論を得た。①3%ODI>15の妊婦は存在しなかったが、3%ODI>8 の2名がその後に血圧上昇を認め、睡眠時呼吸障害が軽度でも血圧上昇の可能性がある。②調査時BMIが高く、体重増加量が多い妊婦ほどSpO2低下回数が多かった。③睡眠効率が低く、中途覚醒が多い妊婦ほど脈拍数平均値、標準偏差値が高かった。④SpO2低下が少ない妊婦ほど精神健康度が低かった。また、精神健康度が低下している妊婦は、睡眠時間が短く、睡眠効率が低く、加えて自覚的睡眠障害を有し、過度な日中の眠気が強かった。⑤自覚的睡眠障害のある妊婦や入床時刻が遅い妊婦は、睡眠時間が短かった。
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