研究課題/領域番号 |
16K20802
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研究機関 | 日本医療科学大学 |
研究代表者 |
坂口 由紀子 日本医療科学大学, 保健医療学部, 准教授 (00438855)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遺伝性希少難病 / 家族支援 / シームレス / ライソゾーム病 / グリーフケア |
研究実績の概要 |
希少難病であるライソゾーム病は、ライソゾーム内の酸性分解酵素の遺伝的欠損により、ライソゾーム内に大量の脂質あるいはムコ多糖などを蓄積し、肝臓・脾臓の腫大、骨変形、中枢神経障害など種々な症状を呈する疾患群である。難病指定されているライソゾーム病には約31種類の疾患が含まれ、個々の患者数は希少である。病型によって、常染色体劣性遺伝もしくは伴性劣性遺伝の形式で遺伝する。先行研究より、家族会においても遺伝に関する内容はタブー視される傾向があり、十分な支援が受けられていないことが分かった。そこで本研究は遺伝を巡る支援の課題と支援方法の確立を目的としており、今回取り組みの初年度である。 1)インタビュー調査:9名の対象者へインタビューを実施した。希少難病であるため、インタビュー対象者が全国に及ぶことから、インタビューの実施が困難な状況であった。また、初見のインタビューで遺伝について率直に語られることはなく、遺伝を巡る支援の課題を明確にするためには、引き続き面接を繰り返して信頼関係を構築していく必要がある。 2)文献レビュー:引き続き国内外の文献を集めて分析していく。 3)語れる場の提供:今年度は開催に至らなかった。 4)勉強会・検討会の開催:患者家族会の交流会への参加、研究協力者との研究会を実施し情報収集やデータの分析を行った。「子どもの死を巡る支援のあり方、遺伝性疾患とその家族への支援についての勉強会」として講師を招き勉強会を行い、研究協力者とともにグリーフケアの新たな理論について学びを深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査は順調に進んでいるが、センシティブな問題であり遺伝に関するデータは十分に得られていない。また同様の理由により語りの場の提供には至らなかった。インタビュー調査を通じて語りの場の必要性を検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1)インタビュー調査の継続と分析:インタビュー調査を継続し、専門家のアドバイスを求めつつ分析をしていく。 2)支援方法の開発:インタビュー調査で明らかになったことを中心に支援方法を考察していく。遺伝疾患においては、子どもの生前のみならず死後も遺伝を巡る課題が生じてくる。引き続き勉強会や施設視察を行い、生前からの遺伝疾患を踏まえたグリーフケアの課題と支援方法を検討していく。 3)インターネット上での展開:研究の知見や活動の内容をホームページ上で紹介する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入が進まなかった。また、インタビュー調査を重ねることができず予定の半額にとどまった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、必要物品の購入を進め、インタビュー調査を継続していく。また、支援方法の知見を広げるために、研究協力者と共に施設視察を行っていく。
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