希少難病であるライソゾーム病は、ライソゾーム内の酸性分解酵素の遺伝的欠損により、ライソゾーム内に大量の脂質あるいはムコ多糖などを蓄積し、肝臓・脾臓の腫大、骨変形、中枢神経障害など様々な症状を呈する症候群である。難病指定されているライソゾーム病には約31種類の疾患が含まれ、個々の患者数は希少である。病型によって、常染色体遺伝もしくは伴性劣性遺伝の形式で遺伝する。先行研究より、遺伝に関する内容はタブー視される傾向にあり、十分な支援が受けられていないことがわかった。そこで本研究は遺伝を巡る支援課題の明確化と支援の検討を目的としており、今回取り組みの三年目である。ご家族のインタビュー調査を継続し、遺伝に関してどのような問題を抱えているのか、必要な情報と支援について聞き取りを行った。複数回のインタビューを通して、次児誕生を巡るなかで夫婦間のギャップが生じることがわかった。夫婦間のギャップが顕著になる時期は次児が健常児であることの確信を得る時期であり、夫婦関係がゆれパートナーへの不信感も強かった。遺伝カウンセリング等の中で、この時期の夫婦間のギャップを少しでも平坦にし、夫婦相互の理解が深まるような支援が求められる。インタビュー調査で得られた結果は論文で発表した。また、医療的ケア児の支援について海外の知見を得るためにフランスで、母子保健センター、NECKER小児病院、訪問看護ステーションの視察、在宅小児看護研修を実施し、帰国後視察報告会を開催した。
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