2019年度は、夜間の授乳を行っている産褥早期の女性の睡眠状態と自律神経活動の実態を調査するため、データ収集を行った。データ収集は、首都圏にあるA産婦人科クリニック1施設である。対象者は、研究協力への同意が得られた産褥入院中の女性20名である。 方法は、夜21時から、朝9時まで自律神経活動および睡眠状態を測定できる機器を胸部に装着し、翌朝起床時にアンケートによる睡眠に関する調査を行った。夜間の覚醒有無を確認するため、夜間の行動をメモしてもらった。さらに、マタニティブルーズ自己質問表への回答を依頼した。退院後は、1ヶ月健診前に調査に協力してもらった。夜間の覚醒有無を確認するための夜間の行動をメモしてもらい、翌朝起床時にアンケートに夜睡眠に関する調査を行った。さらに、エジンバラ産後うつ病質問表に回答してもらい郵送にて回収した。 結果は、2名が体調不良のため協力を辞退し、18名より協力を得た。年齢は34.4±3.2歳、出生時児体重3064.2±357.2gであった。妊娠中の平均就寝時間は22時頃で、産後入院中の平均就寝時間は23時頃であった。入院中のマタニティブルーズ自己評価の得点は4.06±2.7点であった。全症状の得点合計が8点以上を示すとき、マタニティブルーズと評価されるが、本研究の対象者では8点であった対象者が2名いた。産後1ケ月健診時に行ったエジンバラ産後うつ病質問票の得点は、4.5±3.4点であった。エジンバラ産後うつ病質問票は、合計得点9点以上を高得点としている。本対象者では、9点が1名、10点が1名であった。両方の質問紙で高得点であった対象者は1名であった。 睡眠状況とマタニティブルーズや産後うつの状態がリンクしている対象者もおり、育児技術の習得や新生児との母子関係構築を進めながらも、今後睡眠が確保できるような具体的支援も必要であると考える。
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