研究課題/領域番号 |
16K20808
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
植松 紗代 同志社女子大学, 看護学部, 講師 (40610267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠 / 睡眠 / セルフモニタリング |
研究実績の概要 |
妊娠初期と中期の2時点で調査協力が得られた妊婦を対象に縦断調査を行った。調査内容は,睡眠習慣(平日と休日の就寝・起床時刻や睡眠時間とその行動が不規則になる頻度や変動する幅),睡眠障害(ピッツバーグ睡眠質問票)について回答を求めた。また,調査は,1週間の睡眠のセルフモニタリングを実施するセルフモニタリング群と何もしない統制群に分け行った。 その結果,睡眠のセルフモニタリングを実施した群の方が,平日・休日ともに初期の就寝時刻より中期の就寝時刻が早くなることが示された(平日の就寝時刻:Cohen'd=0.28効果量小,休日:Cohen'd=0.30効果量小)。さらに,就寝時刻が変動するその幅(分)は,平日,休日ともにセルフモニタリング群の方が,初期と比較し中期の変動幅が短縮していた(平日:Cohen'd=0.50効果量中,休日:Cohen'd=0.39効果量小)。睡眠時間が不規則になる頻度は,セルフミニタリングを実施した群の方が,中期に不規則になる頻度の減少が示された(Cohen'd=0.28効果量小)。睡眠障害については,セルフモニタリング群の方が睡眠時間,睡眠困難が初期に比べ中期に改善していた(睡眠時間:Cohen'd=0.26効果量小,睡眠困難:Cohen'd=0.27効果量小)。 以上のことから,睡眠のセルフモニタリングを1週間実施した妊婦の方が実施しなかった妊婦よりも,初期と比較し中期に平日,休日ともに早く就寝するようになり,その行動時刻が変動する幅も短縮し,規則的になっていることが示された。さらに睡眠時間が不規則になる頻度もセルフモニタリングを実施した妊婦の方が初期より中期に少なくなっていた。そして,睡眠時間や,入眠困難や中途覚醒,睡眠維持困難などの睡眠障害についても,セルフモニタリングを実施した妊婦はしなかった妊婦より中期に改善がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
妊娠経過を追った縦断調査において,妊娠経過中,継続して調査できる対象者が少なく,対象者数が当初の予定に満たなかったため,前年度の調査を継続し実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後,縦断調査の結果を得て,セルフモニタリングの内容,実施方法,パンフレットの内容等を再検討していく。また,前年度より継続している,睡眠改善に重要な生活習慣を検討するため,更なる対象者の確保とWeb版でのセルフモニタリングの実施ができるよう,Web版の作成,運営方法について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
縦断調査の対象者の確保が進まず,そのため調査結果をもとに作成予定のセルフモニタリングシートやパンフレットの検討が進まず,次年度へ繰り越しとなった。次年度はWeb版の作成および運営についてすすめていく。また,前年度からすすめていた調査の延長で実施していた為,調査に付随する経費はかからず,さらに,対象者数の確保が進まなかったため,データの分析,検討等ができず成果につなげることができなかった。
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