成人女性を対象としたリプロダクティブヘルスに関する遺伝リテラシー教育

2017 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K20809
• 研究機関: 兵庫医療大学
• 研究代表者: 片田 千尋 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (10708556)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 遺伝リテラシー / 遺伝教育 / 女性

研究実績の概要

平成29年度は、平成28年度に開発した「リプロダクティブヘルスに関する遺伝リテラシー向上のための教育プログラム」を用いてワークショップを開催し、プログラムの妥当性を検討するためのプレリミナリー研究を行った。兵庫県内の3大学の文系学部および理系学部の女性の大学生480名をリクルートし、承諾が得られた52名を対象にワークショップによる介入を実施した。
参加者の感想や反応および、介入前・介入直後・3ヶ月後に回答を求めた遺伝リテラシーについての質問紙への結果をもとに、専門家と相談しながら教育プログラムを複数回修正し、介入を行った。その結果、3つの項目（遺伝学的な基礎知識を学ぶためのゲーム、遺伝学的検査の信頼性や倫理的法的社会的問題についての講義、ヘルスリテラシー向上のためのグループディスカッション）で構成された90分の教育プログラムが完成した。
この最終版の教育プログラムの受講者12名については、教育プログラム受講についての満足度が高く、遺伝学についての関心の高まりがみられた。また、介入前・介入直後・3ヶ月後の質問紙の回答を反復測定分散分析を用いて比較した結果、遺伝リテラシーに必要な遺伝学に関する知識や情報検索能力の向上傾向がみられた。したがって、本プログラムは遺伝リテラシー向上への妥当性が示されたと考える。この教育プログラムの有効性を検証するため、平成29年度から本教育プログラムを用いた本調査を開始している。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度に実施したプレリミナリー研究は、当初は1大学の大学生のみで実施する予定であったが、サンプルの適切性を考慮し、複数の大学の大学生を対象に行うことにした。そのため、研究協力施設への依頼等に時間を要し、研究開始が遅れた。また、研究協力への同意者の割合が低く、対象の確保にも時間を要した。そのため、本調査を開始する時期もやや遅れた。

今後の研究の推進方策

教育プログラムの有効性を検証するための本調査を平成29年度から開始しており、平成30年度も引き続き実施する。その結果をもとに研究成果をまとめ、学会発表や論文作成を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

（理由）研究の進行が少し遅れているため、研究対象者に介入する教育プログラムの実施も遅れ、研究対象者への謝金や教育プログラム実施に伴う物品購入経費の使用が遅延し、次年度使用額が生じた。
（使用計画）上記に記載した研究対象者への謝金や教育プログラム実施に伴う物品購入費等に使用する予定である。