研究課題/領域番号 |
16K20811
|
研究機関 | 日本赤十字九州国際看護大学 |
研究代表者 |
松中 枝理子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教 (50756905)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 口唇裂・口蓋裂 / 思春期 / 患者 / 親 / 意思決定 / 手術 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
平成29年3~8月に、口唇口蓋裂に関連した手術を受けた思春期の患者14名、親17名に半構造化面接を行った。 思春期の患者を対象とした調査について、患者の手術への意思決定プロセスと意思決定に影響する要因について、質的帰納的分析を行った。分析を行う際には、研究協力者と分析内容を検討し、真実性の確保に努めた。分析の結果、思春期の患者は手術施行を決定する際に、第一段階として『手術施行の提示』を受け、第二段階として『手術施行への心理的葛藤』を経験し、第三段階として『手術施行の決定』に至ることが明らかになった。第一段階の『手術施行の提示』は【治療計画として予定されていた手術】、【医師からの勧め】の2つのカテゴリーが抽出された。第二段階の『手術施行への心理的葛藤』では、【自分の顔貌への違和感】や【自分の顔貌に自分らしさを感じる】など9つのカテゴリーが抽出され、患者は手術施行への意思決定を行う際に経験する心理的葛藤の概要が明らかになった。第三段階の『手術施行の決定』では、【自分の意思】や【治療を受けることは避けられない】などの4つのカテゴリーが抽出され、患者は自分の意思以外の要因でも手術施行の決定に至っていた。 思春期の患者の手術の意思決定に影響する要因については、【自分を理解してくれる人間関係】や【物事を深刻に捉えないようにする】などの7つのカテゴリーが抽出され、患者は思春期に至るまでに構築した人間関係や自身の物事の考え方に影響されながら、手術への意思決定を行っていることが明らかになった。 親を対象とした調査については、患者が手術への意思決定を行う際の親の関わり方や困難感、患者が手術への意思決定を行う際の親が知りたいと思う内容や望む支援について、質的帰納的分析にて分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年3~8月に、口唇口蓋裂に関連した手術を受けた患者14名、親17名に半構造化面接を行い、質的帰納的分析を進める中で、理論的飽和を得られている状況だと判断している。患者を対象とした調査については分析が終了しており、平成30年度の国内外での学会発表の後、論文として発表予定にしている。しかし、親を対象とした調査については、質的帰納的分析にて分析中である。当初の計画では、平成29年度内に患者と親の調査について分析を終了している予定であったが、理論的飽和に至るまでに面接調査期間が予定よりも長く必要となったため、本研究の進捗状況はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、患者の手術への意思決定プロセスについて、第42回日本口蓋裂学会と2nd International conference on nursing science and practice、患者の手術の意思決定に影響する要因については第49回日本看護学会-急性期看護-で発表予定にしているため、学会発表の準備と論文投稿の準備を進めていく。 親を対象とした調査については、分析を進め、分析の真実性の確保のために研究協力者と分析内容の検討を行い、学会発表や論文作成を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の対象となる思春期の患者の手術時期に合わせて、面接調査をまとめて実施することができたため、当初の計画より旅費を削減することができた。翌年度は、国内外の学会での研究発表、論文投稿時に必要な文献の取り寄せや英文校正に資金が必要となるため、旅費やその他の項目として助成金を使用予定である。
|