研究課題/領域番号 |
16K20818
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 真寛 京都大学, 医学研究科, 助教 (00732182)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症 / 高齢者 / 活動の質 / 観察評価 |
研究実績の概要 |
認知症をもつ高齢者が活動を行う時に、その活動に伴う充足感、つまり活動の質(QOA)の観察評価ツールを作成することが本研究の目的である。H28年度はこの目標に向けて、先行研究で得られた臨床の熟達者が行っていた観察視点を観察項目として25項目にまとめ、それぞれの項目に対して4段階評価の具体例を作成した。この具体例も先行研究のインタビュー等の情報を整理して作成した。 25項目に関しては、1)活動の参加を妨げる状態がない、2)活動を準備する、3)活動を開始する、4)活動の対象に視線を向ける、5)活動に対象に体を位置付ける、6)活動を継続する、7)活動に集中する、8)活動に関わる知識や技術を示す、9)活動中に内容を選択する/好みを示す、10)活動が円滑に進むように工夫する、11)活動後にネガティブな感情がない、12)満足感を得る、13)有能感を得る、14)新しい活動に進む、15)ネガティブな感情表出がない、16)笑顔が見られる、17)高揚する、18)活動を通して交流する、19)一緒に協調して何かする、20)活動に関係した知識・技術を教える、21)他者に意志を伝える、22)他者を思いやる、23)活動から喚起される感情を共有する、24)発語の流暢さがある、25)回想するという25項目である。 そして、この研究で得られた25項目を4段階の評定をつけ、実際に使用できるかどうかを現在試行を行っている。 原罪までに、15名の対象者の動画を共同研究者とともに評定して、項目例の検討を随時行い、適合の悪い項目に関して、修正を繰り返し行っている段階である。ラッシュモデルを使用しながら、評価法の適合度に関してもチェックをしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
評価項目や評価時の例の作成にかなりの時間を要している。繰り返しの観察評価の実施してからの評価項目の見直しが求めれており、この繰り返しが収束するまでに至っていない。 観察評価のマニュアルは総計で40ページを超え、評価としてはかなりのボリュームのある評価法にはなってきている。今後も引き続き、評価方法のブラッシュアップを共同研究者とともに行い、信頼性、妥当性の高い評価の作成を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、本研究の最終年度のH30年度に向けて、着実に準備を進めることを行っていく。H30年度にはQOA評価法の講習会を開催し、多くの人に評価を使用してもらえる環境を整える。そして、それらの評価結果からQOAについて、またブラッシュアップを続ける予定にしている。 H29年度は具体的にはH28年度と繰り返しにはなるが、患者様等の動画から観察評価の視点を利用した評定を繰り返し、項目や例をモディファイをする予定にしている。H30年には複数のセラピストが使用できるようにマニュアルの整備、そして研修会の実施を予定している。 そして、最終的にQOA評価法が臨床の場で用いられるように広報し、認知症もつ人が少しでも良い時間を過ごせるように、評価方法の開発を進めたいと思う。
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