本研究課題「PsyNACSを用いたWeb型精神科看護計画システムの開発とそのDBの標準化」の目的は研究代表者らが独自に作成した看護アセスメント分類システム(PsyNACS)をもとに、個々の患者に応じた【アセスメント項目】、【看護上の問題】、【看護計画】、【期待される成果】をWebで入力し、情報蓄積を繰り返すことができるWeb型看護計画システムの開発を行うことであった。 研究初年度である平成28年度は、PsyNACSのシステム開発および臨床での実証試験を行った。システムの構築だけでなく情報セキュリティーの強化を図った。平成29年度はWebに接続していないノートパソコン型PsyNACSを精神科単科病院に導入し、院内の看護師が150名の患者情報の入力を行った。また、個々に応じた看護計画の立案を入力した。患者情報の入力内容はエクスポート機能を用いて研究者が情報を取り出し、同じ病名の患者に対する看護計画内容の比較を行い、共通性の分析を行った。これにより蓄積されたデータ(ビッグデータ)の多変量解析が簡便にできる可能性が示唆された。Webによる情報の蓄積については、安全上の配慮からシステムを公開できなかったためできなかった。 最終年度である平成30年度はWeb型PsyNACSへの患者情報の蓄積を行う計画であった。四国内の協力病院において精神科経験の豊富な看護師12名により個人情報を除いた患者情報と看護計画を60名分入力した。さらに、徳島大学とクラウドサーバーを接続し、入力された情報がタイムリーに学内で確認できることを実証試験した。その結果、情報の蓄積及びサーバーからのタイムリーなダウンロードには問題がなかった。クラウドサーバーを用いた実証試験で問題を認めなかったことより、情報の抽出による解析が可能となった。今後、論文の執筆と製品化について取り組む予定である。
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