研究課題/領域番号 |
16K20828
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
北 恵都子 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (50570686)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 気分障害外来患者 / 外来看護 / 再発予防 / 自殺予防 / 課題 / 困難 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は気分障害外来患者の再発や自殺を予防する精神科外来看護ケアガイドラインの開発である。今年度の研究目的は、ガイドラインに含むべき気分障害外来患者の再発や自殺を予防する精神科外来看護における臨床課題を明らかにすることである。精神科病院または精神科診療所にて気分障害外来患者に対し再発や自殺の予防を目的にケアを実施している看護師で、かつ精神科外来看護の経験を3年以上有する者を対象にインタビュー調査を実施した。質的記述的手法を用いて分析を行った。気分障害外来患者に対し再発や自殺の予防を目的にケアを実施している中での困難や課題として、精神科外来看護における看護師の役割が不明確であることや、外来患者の経過や治療の方針などが共有されていないことがケアの実施を困難にさせていることが示された。その他、業務量が多い、人手が足りないなど、患者に対しケアを実施できる体制が十分に整っていないことも課題であることが示された。 以上のように、気分障害外来患者に対し再発や自殺の予防を目的としたケアの実施のために、検討すべき課題が示されたが、外来看護師のケアの実施には、各施設における診療体制や人員配置、看護師のケアのスキルなども影響すると考えられる。そのため、全国的の精神科外来および精神科診療所の外来看護師を対象とした、気分障害外来患者に対する再発や自殺の予防を目的としたケアの実施状況についての調査を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インタビュー調査の対象者とした、精神科病院または精神科診療所にて気分障害外来患者に対し再発や自殺の予防を目的にケアを実施している看護師で、かつ精神科外来看護の経験を3年以上有する者をリクルートすることに時間がかかった。看護相談を実施している施設や縁故などを頼りに研究依頼をしたが、外来看護師としての経験はあってもケアについて語れないことを理由に辞退されることも多かった。平成28年度中に臨床課題を特定し、それをもとにした質問調査の実施を予定していたが、リクルートに時間を割いたため、現時点では質問紙を作成する段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のインタビュー調査の結果から、精神科外来看護ケアについてのインタビュー調査の対象者のリクルートに困難を要することや、外来において要ケア者の特定が困難であること、看護師の役割が不明確といった、ケア実施の根本ともなる問題が抽出されたことにより、ケアガイドラインの試案の検討までは時間的に困難だと考えている。そのため、気分障害外来患者への再発や自殺の予防を目的としたケアの実施を可能にするための臨床状況に即した指針を作成することを最終目的とする。文献検討においては自殺率の低い諸国の自殺予防のための介入に関する文献を参考にすることや、学会や研修会などに積極的に参加し、気分障害患者への再発や自殺を予防するための多職種によるアプローチ方法などについても情報収集を行う。その他精神科外来に携わる多職種へのインタビューも実施する。臨床課題にそったエビデンスの収集と整理に時間をかけることで、我が国の精神科外来の状況を踏まえた指針の作成に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度中に全国の精神科外来および精神科診療所の看護師を対象とした質問紙調査の実施を予定していたが、第1段階のインタビュー調査の対象者のリクルートに時間を要し、質問紙の作成が遅れているため、調査用紙の配布に着手できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、質問紙調査を作成しており、7月~8月に質問紙調査を実施する準備をしている。その後分析を行い、今年度中に全国の精神科外来における気分障害外来患者の再発や自殺を予防することを目的といsた看護ケアの実施状況の把握と、ケア実施における指針に含むべき臨床課題を特定する。
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