気分障害外来患者の再発や自殺予防のためのケア実施上の困難について、熟練看護師の実践を明らかにすることを研究目的とした。当該ケア実施上の困難とは、平成29年度に実施した精神科外来看護師を対象とした質問紙調査で、半数以上の回答者が困難だと回答した項目とした。 研究参加者は6名の5年以上の精神科外来看護の経験を有する熟練看護師であった。研究参加者に対し、半構造的インタビューを個別に実施した。インタビュー内容は、患者-看護師関係の構築、治療の方向性や経過の把握の方法、患者とかかわる時間の確保の方法、自殺や再発のリスクアセスメントと、ハイリスクと判断した時の対応についてとした。逐語録を作成し、外来看護師が困難だと感じている項目に対する実践について語られている部分を抽出し、質的手法を用いて分析を行った。 参加者の属性は、平均精神科外来看護経験年数10.8年、範囲6~19年)であった。分析の結果、患者-看護師関係の構築では、患者のことを気にかけている姿勢を積極的に示すこと、相談できる機会があることを示すなどの行動が示された。治療の方向性の共有については、定期的なカンファレンスの開催、把握した情報の共有などの行動が示された。患者と関わる時間の確保については、業務時間内での相談時間の設定や相談対応ができるスタッフの配置の工夫などが示された。自殺や再発のリスクアセスメントの方法については、外来受診時のさまざまな場面での観察や、患者の状態を的確にとらえられるような具体的な質問方法などが示された。自殺や再発がハイリスクと感じた時の介入方法については、院内外での多職種との連携を活かした介入や刺激を軽減するための待ち時間中の介入などが支援された。
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