腰部脊柱管狭窄症の手術後も痛みが残っている高齢者において【痛みの対処方法】や【痛みのとらえ方】がメンタルヘルスや普段の活動量に影響を与えているかどうかを確かめ、さらに、【痛みの対処方法】を変化させることでメンタルヘルスや普段の活動量が改善するかどうかを検討することを通じ、慢性的な痛みのある高齢者における在宅リハモデルを確立させることが一連の研究の最終目標である。 平成30年度に活動量を向上さることで健康関連QOLが向上するかどうかを確認するための介入研究を計画したものの、実施環境が十分に整わなかったため、身体活動量を活動量計(オムロン社製HJA-750C)を用いて定量的に測定する観察研究に方針転換した。令和元年度においても調査を継続するとともに、得られた知見を公表することで、研究成果の充実を図った。 昨年度の段階で、中等度の身体活動の時間が長い人ほど健康関連QOLの一側面(全体的健康感)が良好だったのに対して、低強度の身体活動の時間が長い人ほど全体的健康が低かったことが分かっていたが、調査例数を重ねても同様の結果であった。 さらに、信頼性と妥当性が確認された身体活動量調査質問紙と活動量計から得られるデータとが関連することも確認した。 これらの知見から、腰部脊柱管狭窄症の手術後も痛みが残っている高齢者の身体活動量向上プログラムを作成する場合には中等度の強度となるような配慮が必要であり、また、そのプログラムの効果を検証する際には、活動量計から得られるデータの中でも2METS台の身体活動の時間またはエクササイズ(活動時間に強度をかけ合わせた値)を用いるとよいことが分かった。
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