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2016 年度 実施状況報告書

Deep Learningを用いた挙動認識による高齢者ベッドからの転落防止見守り

研究課題

研究課題/領域番号 16K20847
研究機関高知工業高等専門学校

研究代表者

佐藤 公信  高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (90461384)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード高齢者見守り / 人工知能 / 深層学習 / 転落予測
研究実績の概要

本研究は,認知症高齢者のベッドからの転落を未然に防ぐため,ヒトの行動を人工知能によって理解する技術の実現を目指す。認知症高齢者は,ベッドから転落すると,骨折などの重傷を負い,寝たきりになる可能性が高い。そこで,ベッド上で認知症高齢者が「足をばたつかせる」,「ベッドに座る」といった連続的な挙動から,転落の予兆を人工知能が認識する。
これにより,認知症高齢者の特徴を掴んだ個別的な介護を効率的に実現する道を開き,介護負担軽減,医療費抑制,生活の質向上に資する世界に先駆けた認知症介護問題の解決策を提案する。
提案研究のシステムは,ベッド上の人物を3次元計測可能なKinectにより,センシングする。Kinectによりセンシングされたデータを入力情報とするDBNが,行動を理解し,転落を予期する。
転落に繋がる挙動は,対象者毎に特徴的であると医療従事者により報告されている。ゆえに,特徴的な挙動を含むデータを学習に用いる必要がある。しかし,全ての挙動を学習データとして網羅することは難しく,個別の学習データを利用して学習する必要する必要があると考えた。
この仕組みの実現により,個人に特化した転落予兆が実現できる。まず,基本的な予測能力を有する学習を実施するため,広範囲ではなくある程度の特徴的な挙動取得を目指し,挙動を効率的に収集するため,同時に複数台のハードウェアを利用し,学習データの取得を行う。本年度は,まず,ハードウェアを2台作成した。加えて,計測されたデータは,ユーザにより,特徴的なデータはラベリングされ,学習を自動的に実行するサーバへ送信する一連の仕組みを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

提案研究は,ベッドからの転落予兆を検知することが目的である。まず,基本的な予兆検知能力への到達を目指し,DBNの初期の学習に用いる学習データ構築を行う。そこで,Kinectによりベッド上の検知対象者をセンシングし,DBNにより転落を予兆するハードウェア2台の作成を実施した。作成した2台のハードウェアを用いて,並列的に挙動データの取得を高知工業高等専門学校にて行った。被験者は,認知症高齢者の挙動を模倣し,転落に繋がるデータを取得した。構築したデータにより,体格の差に対して汎用的であることが明らかとなった。
加えてユーザ固有の挙動を学習データに盛り込みユーザに特化した予兆を判断するために,データ収集可能なサーバを構築し,Kinectにより構成されたハードウェアよりデータを送信する仕組みを実現した。この仕組みの有効性を明らかにするために,実験を行ったところ,84.0%だった検知率が,86.4%へと上昇した。これは,初期学習によって,初期学習のデータへ最適化されたネットワークを初期値として新たに追加された挙動データを用いる継続学習を行ったため,上昇の幅が2.4%と小さくなったと考える。初期学習のデータを忘却してしまったことが原因ではないかと考えている。改善方法としては,初期学習データに対して,ユーザから送信されデータを追加し,学習データのセットを更新する学習方法へ変更することにより,さらなる検知率の情報が行われるのではないかと考えている。

今後の研究の推進方策

研究代表者である佐藤は,2017年3月末に高知工業高等専門学校を退職し, 4月1日より,国立研究開発法人 情報通信研究機構に着任した。研究計画段階で挙動データセンシングのため協力医療機関として,予定されていた高知大学医学部との協力関係が難しくなった。新たに協力を得ることができる医療機関を探し,個人毎に特化した挙動のセンシングを進める予定である。
提案システムは,体格の違いについても吸収する必要があるために,研究機関を通じて100名以上の被験者からのデータ取得を目指す。
これより先行して,高知工科大学にて高齢者を模擬し,挙動センシングを行う予定である。このデータを利用して,DBN(Deep belief network)の基本的な能力を有す学習が可能となるようにデータセットを構成する。

次年度使用額が生じた理由

KinectのバージョンがV1からV2へと変更になり,調査およびブログラムの調整に時間を要した。正しく機能するか確認するためにハードウェア作成台数を抑えた。

次年度使用額の使用計画

追加ハードウェアの購入および進捗が良く成果がでているため成果発表のための学会参加費および旅費として利用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Development of Human Behavior Recognition for Avoiding Fall Down from a Bed by Deep Learning2016

    • 著者名/発表者名
      Hironobu Satoh, Kyoko Shibata
    • 学会等名
      International Conference on Brain Informatics & Health
    • 発表場所
      Omaha(USA)
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-16
    • 国際学会
  • [学会発表] Deep learningとKinectによるベッドからの転落防止見守りシステムの検討2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤公信, 芝田京子
    • 学会等名
      LIFE 2016 第32回ライフサポート学会大会
    • 発表場所
      東北大学(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-06

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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