本研究は、少子化、核家族化、社会環境の変化から子育ての困難さを訴える母親が増えている今日において、育児を行っている母親のヘルスリテラシーと育児力との関係を明らかにし、さらにプレママ世代である高校生・大学生のヘルスリテラシーの調査と、高いヘルスリテラシーに関連する要因を明らかにしようとしたものである。 研究手法として、量的な研究と質的な研究をミックスした混合研究法を用いるために、平成28年度には混合研究法についての研修会に参加し、また学内で他の教員も交えて混合研究法に関する勉強会を行って理解を深めた。また、ヘルスリテラシーを測定する尺度案の作成に際し、文献を取り寄せ検討を行った。尺度の検討のため、看護師と保健師の資格を有し、自治体で保健師としての就業経験がある者に謝金を払って協力を仰ぎ、文献の検討や尺度の内容について詳しく比較検討した。ヘルスリテラシーの尺度の候補として、IshikawaらによるHLS-14、SukaらによるCCHL尺度、河田らによる性成熟期女性のヘルスリテラシー尺度を選定した。しかし、これらの尺度はいずれも「医療にかかる際」あるいは「治療を受ける際」のヘルスリテラシーを測るものとされており、母親自身の健康や子どもの健康を守っていく予防の観点で測定されているものではなく、尺度の問い方の変更が必要であった。さらに、育児を行っていく力を測定する尺度についても文献検討を行い、候補となる尺度を選定したが、教育の業務の増大、および大学の校舎改修のための引っ越し等があり研究を行える時間が不足して質問紙の作成までは至れず、研究計画書の医学倫理審査委員会への提出が行えていない状況であった。一身上の都合により、平成30年度末で大学を退職することが決まり、研究者の資格を喪失することとなったため、研究を廃止することとなった。
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