本研究の目的は、20~30代の就労している独身男性が重視する生活習慣の特徴を明らかにし、彼らの健康生活習慣への関心を高めるために産業・行政の保健師等が活用可能な支援教材を開発することである。 就労している20~30代の独身男性が重視する生活習慣の特徴を質的記述的に分析した結果、彼らの生活習慣は【仕事に備えるための生活習慣】であり,〈体力維持・回復のための生活習慣〉と〈ストレス軽減のための生活習慣〉であった。この結果は,本人が仕事に備えるために必要と判断する生活習慣を改善することの難しさを示唆しており、彼らが自ら学ぶ学習プログラが必要と考えた。 学習プログラムはこれらの結果と健康行動理論をもとに研究チームで検討を重ね、作成された。研究チームのメンバーは,プログラム開発・評価の経験のある教育研究者2人と企業等に勤務している産業保健師2人であった。題材は,研究対象の職場の先輩に当たる40代~50代であり、自分の健康状態とうまく付き合いながら就労している者とした。学習プログラムの構成は,職場の先輩のライフストーリーを作成し,それらを視聴することによって現在の生活を振り返ってもらうものとした。また、活用可能性を高めるため、プログラムはこれらの対象がアクセスしやすく,簡単に実施可能なwebとした。ライフストーリーの作成方法は、健康診断の結果,過去にBody Mass Index 25以上であり,1項目以上の検査値異常がある40以上の男性を研究参加者とした個別面接調査であった。それらをデータとし、3つのライフストーリー動画を作成した。 以上より、一定の内容妥当性を有するプログラムが作成された。本プログラムは、産業・行政の保健師がポピュレーションアプローチとして活用可能である。本プログラムの普及に向け、全国健康保険協会や産業保健センター等に活用とPRを依頼する。
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