本研究は、保健師のキャリアをサポートするために、特に新任期の保健師の職業的アイデンティティの形成を促すICT教育プログラムを開発することを目的とした。これまでの研究成果を基に、相互学習、リフレクションを目的とした事例学習を行う教育プログラムを作成した。これを用いて、保健師経験3年目までの保健師を対象にeラーニングと集合研修の2群に割付け、教育プログラム受講による職業的アイデンティティの変化を評価した。教育プログラムは各自所有しているモバイルを用いて受講することとした。 研究参加の同意が得られた28名の職業的アイデンティティは、教育プログラム受講により両群とも形成される傾向が伺えたが、2群間で有意な差は認められなかった。教育プログラム受講の感想から、eラーニングを用いた受講でもリフレクションが促進されていることが推察された。その一方、脱落が多い傾向も見られた。eラーニングは個人の意欲に影響される学習方法であることから、学習者の意欲を持続させる教育プログラムの工夫が必要であることが示唆された。
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