研究成果の概要 |
学校不適応の増加の背景として,児の社会的スキルの未発達が指摘されている。本研究の目的は,社会的スキルの発達および学校適応に影響を及ぼす,幼児期から学童期にかけての育児環境の特徴を明らかにすることである。幼児期より追跡調査を実施している3,314名の児を対象に,小学2年生,3年生,4年生の時点で,自記式質問紙調査を実施した。就学前の社会経済状況と就学後の発達との関連を検証したところ,世帯収入・両親の教育歴の低い児ほど社会的スキルが低く,問題行動のリスクが高かった。低い社会経済状況は,育児環境の質の低下を通じて,社会的スキルの正常発達を阻害し,就学後の学校適応に負の影響を及ぼす可能性に示唆された。
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