様々な背景や健康課題をもつ児童生徒が生活する学校では、児童生徒や保護者のニーズに柔軟に対応できる養護教諭が求められる。しかしながら、養護教諭の養成に目を向けると一般教諭には見られない独特の養成が混在し、各大学の個性的な教員養成が保障される一方で、養護教諭の専門性や養護教諭養成を支える学問の姿が曖昧になっているという課題もある。 本研究では様々な課題を抱える現代の学校において、他の教職員が養護教諭にどのような職務役割や資質・能力を求められているかを明らかにする。その結果をもとに養護教諭養成機関におけるカリキュラムの検討を行うことで、現代の学校や児童生徒のニーズに沿った学校保健の中核的存在である養護教諭の資質・能力の向上にもつなげることができ、学校における児童生徒の健康の保持増進に貢献することができる。 研究方法は、養護教諭以外の学校職員を対象とした調査を行い、養護教諭に求めるニーズを明らかにする。そして、明らかになった内容と養護教諭自身が把握しているニーズと比較検討し、現在の養護教諭養成におけるカリキュラムと求められる内容を比較検討し、最終的にはカリキュラムの提言を行う手順である。 調査実施の調整に時間を要したため、研究期間を延長し、2019年度は、それまでに検討した文献より質問紙調査を作成し、調査を実施した。全国の小学校・中学校・高等学校1500校をサンプリングし、養護教諭と管理職の計3000名に調査を依頼し、管理職383名および養護教諭402名から回答が得られた。 回収した質問紙調査は数値化しデータ入力後、統計処理ソフトSPSS を使用し、校種間や職種間の違いを検討し、養護教諭に求められる職務役割や資質・能力を抽出するため、現在分析中である。
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