研究課題
これまで瞑想熟達者と未経験者との比較から、瞑想熟達者は認知パフォーマンスが高いことが知られていた。しかし、瞑想訓練と高い認知パフォーマンスの因果関係や瞑想を訓練として応用していくことを考慮した場合には縦断的研究が不可欠である。そこで、集中瞑想訓練が注意機能向上に寄与することを縦断的研究により明らかにし、また集中瞑想訓練後の注意機能向上の背景にはどのような脳活動の変化が生じているのかを検討した。被験者49名を集中瞑想を受ける群とコントロール群に分け、8週間の訓練を実施した。その前後で安静時、瞑想時、注意課題時の脳波、注意課題、安静時のfMRIを実施した。結果、集中瞑想訓練を受けた被験者はコントロール群に比して、①注意課題時の反応時間が短縮すること、②注意課題時のP3b成分の振幅値が上昇すること、③訓練後の瞑想群において、瞑想時のF4-Pz電極間のθ波の位相同期値が瞑想直後のP3bの振幅と正の相関を示したこと、④同様に訓練後の瞑想群において瞑想時のF4-Oz電極間のθ波の位相同期値が瞑想直後のP3bの振幅と負の相関を示した。これらの相関はコントロール群では認めなかった。上記の結果をまとめ、現在国際誌に投稿中である。fMRIデータの結果に関しては、注意の行動課題において、有意な反応が出なかった。また安静時のfMRIの解析において、当初Default mode networkの機能的結合低下を予想していたが、前部帯状回と視床などとの機能的結合の上昇が認められた。現在これらのデータの詳細を検討中であるが、脳波結果との比較から、瞑想訓練の初期段階には集中瞑想による状態変化(一時的な認知パフォーマンスの上昇)がみられ、特性的な変化をもたらすにはより多くの訓練量を実施しなくてはならないのではないかと考えている。
すべて 2018
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