研究課題/領域番号 |
16K20881
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
立花 優 北海道大学, 文学研究科, 共同研究員 (20733330)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 政党 / 権威主義体制 / 南コーカサス地域 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究対象国の一つであるアルメニアにおける大統領制から議院内閣制への移行と、それに伴う政治変動について研究を進めた。この制度変更は、アルメニアの政権与党共和党(RPA)が、大統領任期に縛られずに自らの政権を長期化させることを目的として実施されたというのが一般的な理解であった。しかし強引な制度変更による政権維持の試みは国民の反発を招き、2018年4月に首相(前大統領)が辞任、8か月の緊張状態を経て議会再選挙の結果野党が地滑り的勝利を収めた。隣国ジョージア(グルジア)においても2012年に政権長期化を目的とした議院内閣制への移行が政権交代へとつながっており、本研究は執政制度の変更が南コーカサス地域においては政権維持にとってマイナスの結果となっていることの要因を解明しようとするものである。当初計画では、こうした制度変更における与党の重要性変化や党内での議論について、2018年度にアルメニアでの現地調査を実施する予定であったが、4月からの政治的緊張状態を受けて情勢分析に注力せざるを得ず、調査実施を延期した。延期した調査は計画を再検討したうえで2019年度に実施し、成果をまとめる予定である。 この他、アゼルバイジャン独立100周年を記念する国際会議において、100年前に成立した短命の民族共和国の教訓が現在の共和国にどのように生かされているかという観点から学術報告を行った。この報告では、「独立維持」が至上命題となった結果、与野党間での議論が大きく制約される結果となっていることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象の一国であるアルメニアにおいて2018年4月に起こった大きな政治変動とその後の緊張状態の継続を受けて現地調査を見送ったことから、当初予定より遅れが出ることとなった。この政治変動は最終的に政権の崩壊につながったため、政権与党を対象とした現地調査について、調査計画の見直しが必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査を延期したアルメニアの調査については、調査計画を再検討したうえで2019年8月から9月に調査を行う。また、アゼルバイジャンについては大統領世襲を実現した事例であることに注目し、大統領職の親子間での継承において政権与党が果たした役割について2019年度日本比較政治学会で報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に実施を計画していたアルメニアでの現地調査を、政治変動の推移を見極めるため延期としたことによる。調査計画を見直したうえで8月末から9月にアルメニアでの現地調査を行う予定である。これに加えて、ジョージア(グルジア)における議院内閣制移行前後の政権与党内部の議論について、現地調査を行う予定である。
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