研究課題
若手研究(B)
本研究は支配政党の形成とその維持における結果の分岐を、コーカサス三国を対象として比較することを目的とした。研究の結果、グルジアにおいては旧支配政党が徐々に集権化傾向を強めた一方、現与党はその成立において地方有力者の取り込みに力を入れていたこと、アルメニアでは支配政党の行政府への融合が進んでいった一方で、選挙制度改革議論の中で小選挙区選出議員に対する配慮が行われていたこと、アゼルバイジャンでは世襲の成功後支配政党の制度化が進む傾向がみられることを明らかにした。
地域研究
本研究は支配政党を軸としてコーカサス三国の政治を比較分析する日本で初めての研究である。世界的に見ても、先行研究においてコーカサス三国は旧ソ連諸国としてロシア・ウクライナや中央アジア諸国と個別に比較されることが多く、地理的・歴史的条件が近似している三国を対象に、変数をそろえて近接比較を行うものは稀であった。また、本研究課題では三国それぞれで現地調査を実施しており、そこで得られた人的つながりや知見は今後の研究の発展にも資するものである。