1960~70年代日本の前衛芸術については、関係者の証言や印象批評的な議論は多いものの、本格的な学術的研究は限定的なものにとどまってきた。本研究は、「東北」表象という視座のもと、当時の代表的な表現者の活動をジャンル横断的な観点から捉え、社会的・芸術史的な観点に基づく調査・分析を通して総合的に検討したという点で、戦後前衛芸術研究に寄与をなしたものと考える。 また、本研究は戦後の前衛芸術が地方の文化に及ぼした影響を、長期的な視点で追求する前例のない試みでもある。それは、近年多くの議論が重ねられている地域文化の問題について、歴史的な視点からの知見をもたらす意義を持つと考えられる。
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