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2016 年度 実施状況報告書

体液中脂質プロファイルの効率的解析に基づくニーマンピック病C型新規診断法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16K20900
研究機関東北大学

研究代表者

前川 正充  東北大学, 大学病院, 助教 (70572882)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードニーマンピック病C型 / 診断マーカー / 化学診断 / LC/ESI-MS/MS / メタボロミクス / 質量分析 / クロマトグラフィー
研究実績の概要

本年度は、各脂質のMS/MS条件、LC条件、前処理条件の基礎検討を行った。
MS/MS条件の検討として、各種コレステロール代謝物のMS条件検討に着手したところ直接的に一斉分析条件を設定することは難しいと判断し、各種誘導体化を施すこととした。複数の誘導体化を使い分けることで各種脂質代謝物を高感度に分析できた。また、LC条件についても検討を行い、各種カラム、移動相を使い分けることによって、多数存在する異性体を相互に分離することができた。前処理については、液液抽出法を用いて各種抱合型代謝物を、オンライン固相抽出法で抱合型代謝物を抽出できることがわかった。
次いで、体液中脂質プロファイル解析を行い、NPC患者尿において特徴的に認められたコレステロール代謝物を疾患マーカー候補分子として抽出した。それらの分子について、精密質量解析が可能な四重極オービトラップハイブリッド型質量分析装置を用いて解析し、組成式推定を行った。その結果、C24H38O7SおよびC24H36O7Sの組成式を有する分子であると予想された。LC保持時間の結果とステロイド骨格を有する構造であることから、マーカー候補分子の構造式を予想した。
化学合成によって、合成標品を用意し、その2つの標準物質を同様の精密質量解析に付したところ、先に得られた尿中の解析結果と完全に一致したことから、2つのマーカー候補分子を予想した分子(3β-スルホオキシ-7β-ヒドロキシ-5-コレン酸および3β-スルホオキシ-7-オキソ-5-コレン酸)と同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年は、各種脂質分析の基礎検討に次いで、体液中脂質プロファイル解析を行い、疾患マーカー候補分子を探索することを目的としていた。
結果として、各種コレステロールならびにスフィンゴ脂質代謝物のMS/MS条件検討についての検討を誘導体化を含めて行うことができた。また、LC条件についてもカラム、移動相の条件を使い分けることで極めて精密な高分離を達成することができた。前処理に関しても液液抽出と固相抽出を使い分けることが有効と判った。
さらに、脂質プロファイル解析においては、NPC患者尿中に2種の特徴的に見い出されたコレステロール代謝物をマーカー候補分子として見出しただけでなく、四重極オービトラップハイブリッド型質量分析計を用いたLC/ESI-MS/MS分析によって、組成式および保持時間などからそれらの構造式を予想し、合成標品を用いて同定を達成することができた。それらについては、さらに次年度に予定していた鑑別診断のための基礎検討のうち、LC/ESI-MS/MSによる精密定量系の構築をも進めており、それについてすでにほぼ完了している。
こうした研究の進展状況から、本年の研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初計画していたとおり、各種基礎検討により得られた条件を用い、スクリーニング法ならびに鑑別診断法の構築を進める。
コレステロール代謝物に関しては、非抱合型代謝物は誘導体化を駆使しながら、抱合型に関しては、直接分析を行うことでさらなるマーカー分子探索を進めていく。また、スフィンゴ脂質代謝物群に関しては、誘導体化は施さず、直接分析を行っていく予定である。
NPCならびにコントロール疾患患者由来の検体はもちろん、各種細胞株、モデル動物などへも本研究によって構築された分析系を適用することにより、基礎的な病態メカニズム解明へも取り組む。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)

  • [国際共同研究] UCL Institute of Child Health/University of Oxford(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      UCL Institute of Child Health/University of Oxford
  • [国際共同研究] National Institutes of Healht(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Institutes of Healht
  • [雑誌論文] Identifcation of two sulfated cholesterol metabolites found in the urine of a patient with Niemann-Pick disease type C as novel candidate diagnostic markers2016

    • 著者名/発表者名
      Masamitsu Maekawa, Kaoru Omura, Shoutaro Sekiguchi, Takashi Iida, Daisuke Saigusa, Hiroaki Yamaguchi, and Nariyasu Mano
    • 雑誌名

      Mass Spectrometry

      巻: 5 ページ: S0053

    • DOI

      10.5702/massspectrometry.S0053

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of novel bile acids as biomarkers for the early diagnosis of Niemann-Pick C disease2016

    • 著者名/発表者名
      Francesca Mazzacuva, Philippa Mills, Kevin Mills, Stephane Camuzeaux, Paul Gissen, Elena-Raluca Nicoli, Christopher Wassif, Danielle te Vruchte, Forbes D. Porter, Masamitsu Maekawa, Nariyasu Mano, Takashi Iida, Frances Platt, Peter T. Clayton
    • 雑誌名

      FEBS Letter

      巻: 590 ページ: 1651-1662

    • DOI

      10.1002/1873-3468.12196

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 質量分析法を活用したニーマンピック病C型化学診断法の開発2017

    • 著者名/発表者名
      前川正充、山口浩明、眞野成康
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      東北大学川内北キャンパス(仙台、宮城県)
    • 年月日
      2017-03-24 – 2017-03-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 誘導体化LC/ESI-MS/MSを用いるコレステロール代謝物の網羅的分析系の構築2017

    • 著者名/発表者名
      河俣圭太、前川正充、三枝大輔、小川祥二郎、東達也、 山口浩明、眞野成康
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台、宮城県)
    • 年月日
      2017-03-24 – 2017-03-27
  • [学会発表] フォーカスドメタボロミクスによるニーマンピック病C型の診断マーカー探索2016

    • 著者名/発表者名
      前川正充、山口浩明、眞野成康
    • 学会等名
      第56回日本臨床化学会年次学術集会
    • 発表場所
      パレア熊本(熊本、熊本県)
    • 年月日
      2016-12-02 – 2016-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] ニーマンピック病C型の化学診断を目的とする尿中抱合型コレステロール代謝物のLC/ESI-MS/MS分析2016

    • 著者名/発表者名
      前川正充、山口浩明、眞野成康
    • 学会等名
      第29回バイオメディカル分析科学シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学桂キャンパス(京都、京都府)
    • 年月日
      2016-09-02 – 2016-09-03
    • 招待講演
  • [学会発表] ニーマンピック病C型の化学診断を目的とした尿中抱合型コレステロール代謝物のLC/ESI-MS/MS2016

    • 著者名/発表者名
      前川正充
    • 学会等名
      第12回東北大学学際科学フロンティア研究所セミナー
    • 発表場所
      東北大学学際科学フロンティア研究所(仙台、宮城県)
    • 年月日
      2016-08-10 – 2016-08-10
    • 招待講演
  • [学会発表] 尿中抱合型異常胆汁酸のLC/ESI-MS/MS分析によるニーマンピック病C型化学診断の試み2016

    • 著者名/発表者名
      前川正充、大村薫、飯田隆、成田綾、山口浩明、眞野成康
    • 学会等名
      第64回質量分析総合討論会
    • 発表場所
      ホテル阪急エキスポパーク(吹田、大阪府)
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-21  

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