研究実績の概要 |
平成28年度は、アビジン付き蛍光粒子に担持可能なタグ付きVEGF・PDGFを用いて細胞増殖能に与える影響をMTSアッセイにて評価し、タグなしのリコンビナントVEGF・PDGFと非劣性の増殖能を持っている事を確認した。また、Boyden Chamberアッセイを行い、タグなしのリコンビナントVEGF・PDGFと非劣性の遊走能を持っている事を確認した。更に、多種の培養がん細胞を用いた担癌モデルマウスと、下肢虚血モデルマウスを作成し、タグ付きVEGF・PDGFを担持した蛍光波長の異なる量子ドットを同時に尾静脈から注射し,in vivo imagingを行う事にも成功した。その結果、腫瘍移植後、3週間・5週間・7週間のマウスにおて、血管内皮と腫瘍間質におけるVEGF受容体やPDGF受容体の分布がダイナミックに変化している事が捉えられた。同様の受容体の分布変化は下肢虚血モデルマウスにおいても確認されたが、その定量的変化量は、腫瘍モデルマウスよりも少ないことがわかった。文献的には、振れ幅の大きいVEGF・PDGF受容体分布の変化は、腫瘍血管が無秩序に増生する事と関連し、虚血モデルマウスにおける振れ幅の小さいVEGF・PDGFの変化量は高度に統制された血管新生を示唆している。また、この変化は、マイクロX線CTによって捉えらられた血管構造の変化と極めて良く相関していた。平成29年度はこれらの知見を裏付けるべくVEGF受容体やPDGF受容体の免疫染色を行い、平成28年度に得られた結果の信頼性が高いものである事を確認した。平成29年度内に論文作成を完了し、現在リバイス中である。
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