現代の知的状況においては、各個人間かつ各専門者集団間の知的分業がますます進んでいる。他方で、同一の研究プロジェクト下での複数の専門知の協働的も必須のことになりつつある。また、科学や知識に求められる性質や規準も、多様化しつつある。本研究では、科学研究の実践形態が巨大化しており、研究プロジェクト内部での社会的分業もふくむ集団的なものになっていることを「社会的転回」、科学理論や知識の「望ましさ」の多元化を「価値的転回」と呼ぶ。このような研究実践の形態や価値の転回を包含可能な認識論的理論として、「社会的認識論」の一部である「批判的文脈的経験主義」についての明確化と批判的考察を主として行った。
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