研究課題/領域番号 |
16K20925
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
冨樫 貴成 山形大学, 理学部, 助教 (80510122)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ粒子合成 |
研究実績の概要 |
本研究では、液化したシュウ酸金属錯体結晶を反応場として用いる擬似的な液相ハイブリッドナノ粒子合成法の開発し、液相合成の課題である多量な廃液排出量の低減と単分散ハイブリッドナノ粒子の合成を目的とした。 本年度は、アルキルアミン融合シュウ酸銀のサイズ制御法の確立を中心に研究を進めた。分解条件を詳細に検討し、粒子サイズの単分散化に成功した。次に、アルキルアミン融合シュウ酸銀の分解後、反応場に新たにシュウ酸銀を添加・錯形成・分解、さらにシュウ酸銀の添加と逐次的にシュウ酸銀を手法により、任意のサイズの銀ナノ粒子を7nmから最大で30nmの範囲で作り分けることが可能となった。これにより、金属錯体を直接分解本手法においても単分散かつ精密なサイズ制御と大量合成が可能となった。その他に、アルキルアミン融合シュウ酸銅錯体の合成・物性測定を行った。シュウ酸銅にジエチルジアミノプロパンが結合した金属錯体の結晶構造を決定し、実際に、シュウ酸-銅-シュウ酸の配位高分子ネットワークがジエチルジアミノプロパンの配位により切断されることを確認した。合成したジエチルジアミノプロパン融合シュウ酸銅錯体は170度以下となり、シュウ酸銅の分解温度(300度)よりも劇的に低下した。これにより、粒子の単分散化に使用可能な配位子の選択肢が劇的に広がった。また、ジエチルジアミノプロパン融合シュウ酸銅錯体の熱分解により金属銅ナノ粒子の合成にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
銀ナノ粒子をもちいて、本手法における単分散化・サイズ制御する為の基礎的な知見を収集できた。また、アルキルアミン融合シュウ酸銅錯体の合成にも成功し本手法で合成可能なナノ粒子ライブラリも着実に広がりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果をもとに、銅ナノ粒子の単分散化・サイズ制御を試みる。さらに、鉄、バナジウム等、他のシュウ酸錯体についても検討し、本手法の一般化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度より、独立研究室を立ち上げたため実験室の立ち上げ準備等、研究外業務が増えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ガラス器具、リアクター、試薬代等の物品費を中心に使用する。
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