本研究は地域産業(地域にある様々な業種の企業など)が行う再生可能エネルギー(再エネ)事業について、地域産業と再エネの連携(企業の技術や知識の活用、再エネ設備の活用)が互いに相乗効果をもたらすと考え、企業と再エネ事業の関係を明らかにすることを目的としたものである。 新聞や補助金採択事業者情報などを活用し、企業などが行う再エネ事業や業種を調査し、そこから地域産業と再エネの連携が考えられる企業などに、再エネ事業の概要や参入の経緯などに関するヒアリング調査を行った。再エネ事業と関連しない企業でも再エネ事業では本業の特徴(建設業の技術や土地取引の実績など)を活用していた。特にバイオマス発電では本業から出る廃棄物の処理が第一の目的に置かれ、FIT制度が活用できたために再エネ事業に参入したというケースも複数あった。 ヒアリング調査で得られた知見から、本業での利益と再エネ事業での利益の関係を6パターンに整理してモデル分析を行った。再エネ電源の種類や連携できる業種の違いなどから利益拡大の仕方が異なり、追加的な利益がもたらされないケースもあった。 さらに本研究では太陽光発電事業を行っている企業などに、企業情報、再エネ事業の概要、再エネ事業の参入の経緯、再エネ事業による効果についてアンケート調査を実施した。主な結論として、業種では建設業や製造業の企業が多く、遊休地の有無などが参入のきっかけとなっており、6割近くの企業で太陽光発電の作業工程に直接関与したなどの回答が得られた。 FIT制度では再エネ事業者の情報が公開されておらず、再エネ事業者の実態を把握することは困難である。そのような中、本研究では特徴ある再エネ事業者にヒアリング調査し、アンケート調査で統計的に太陽光発電事業の実態を把握し、企業の業種と再エネ事業の関係や参入の経緯などを明らかにしている。
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