研究課題/領域番号 |
16K20930
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
邊 ギョンホ 筑波大学, 体育系, 助教 (00757784)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 運動 / 加齢 / fMRI / 海馬 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
海馬下位領域の構造・機能的な変化の解析に必修であるfMRI技術や海馬歯状回特異的な機能であるパターン分離能課題をUniversity of California, Irvine校から導入することで、本研究の目的を達成するための基盤技術を確保した。さらに、加齢による海馬萎縮の影響がない若齢成人を対象に、一過性の低強度運動が海馬パターン分離能を高める神経基盤を明らかにするため、課題中の海馬内のrCBVを神経活動の指標とし、その変化を検討した。その結果、低強度運動により、課題成功時の海馬(DG/CA3, CA1, SUB)及び嗅内皮質(EC)、海馬傍皮質(PHC)の神経活動が高まることが明らかとなった。特に、低強度運動により高まった海馬歯状回(DG)の神経活動が、複雑な物体を詳細に分別・記憶する機能を担う角回(angular cortex)、海馬傍皮質(PHC)、紡錘状回(Fusiform gyrus)の神経活動と同調していることとともに、課題成績の向上と有意に相関していることが明らかとなった。これらの結果は、軽い強度の運動で海馬歯状回を中心とした脳内ネットワークを強化される可能性を示唆し、本研究課題への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行するうえで必要なfMRI解析の技術を習得し、実際のfMRIデータ解析を行うことが可能となり、当初の計画通りに進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
地域情報紙などの媒体を通じて多くの健常高齢者を確保し、高解像度MRI装置を用い、軽い運動習慣が加齢による海馬歯状回特異的な萎縮や機能低下を防ぐことに寄与するかを検討する。また、軽い運動習慣が加齢による海馬萎縮や機能低下に及ぼす影響に関する実験から募集した被験者を対象に、fMRI技術を用いて、一過性の低強度運動が健常高齢者の記憶形成に有効であるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
fMRI分析技術の学習や関連研究動向把握などに平成28年度は注力したため、実験用の消耗品や被験者謝金を支出せず未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
高解像度MRIデータの分析装置の購入費用および、被験者の謝金に使用する予定である。
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