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2018 年度 実績報告書

現代オーストラリアにおける脱植民地化と共和制論争の通時的分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K20938
研究機関筑波大学

研究代表者

津田 博司  筑波大学, 人文社会系, 助教 (30599387)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードオーストラリア / 連合王国 / 脱植民地化 / 共和制 / 君主制
研究実績の概要

今年度は、1999年国民投票に象徴される、1990年代以降の共和制論争について考察した。とりわけ1970年代との比較において、オーストラリアとイギリスがお互いを明確な「他者」として認識するようになった動向をふまえて、オーストラリア国内における世論についてオーストラリア国立図書館およびニューサウスウェールズ州立図書館、旧宗主国の視点からの報道について大英図書館において史料調査を実施するとともに(それぞれ9月15日から10月14日、11月1日から19日)、関連する成果発表を行った。
ホーク・キーティング労働党政権による共和制への支持や「オーストラリア共和制運動」などの団体による活動を契機として、共和制論争は再び脚光を浴びた。しかし、1996年の総選挙で君主制を支持するハワード自由党政権が成立し、共和制反対派の主導の下で共和制の是非や移行案が議論される錯綜した状況が生じたこと、さらには共和制賛成派の間で国家元首の選出方法(議会による指名投票と国民による直接選挙)をめぐる対立が存在したことが背景となって、国民投票に至るまでの道筋は混迷を極めた。最終的には、世論調査で共和制への支持が多数であったにもかかわらず、提示された移行案が否決されるという結果とともに、共和制論争はいったんの終息を迎えることとなった。
こうした論争の過程の分析からは、多文化主義の進展などによってオーストラリアのアイデンティティが変容してもなお、君主制の撤廃に抵抗を感じる人々が少なからず存在し、そこでの君主制がかつてのようなイギリスとの連帯や従属の文脈ではなく、あくまで自国の伝統として語られる様相が明らかとなった。イギリスにおける報道でも旧植民地の離反に対して批判的な論調は見られず、脱植民地化以降の共和制論争がたどった変遷を総合的にとらえることで、帝国的な複合君主制の変容の軌跡を確認できた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] オーストラリアにおけるナショナリズム研究と世界大戦の記憶―「ブリティッシュ・ワールド」論の視点から2018

    • 著者名/発表者名
      津田 博司
    • 雑誌名

      国際武器移転史

      巻: 6 ページ: 73-91

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 1988年をふりかえる-入植200周年以降の先住民・非先住民関係2018

    • 著者名/発表者名
      津田 博司
    • 学会等名
      オーストラリア学会2018年度全国研究大会

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公開日: 2019-12-27  

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