研究実績の概要 |
平成30年度は,小中学生の攻撃行動の捉え方と攻撃行動,心理的不適応の関連を検討することを目的とした調査研究を行った。調査の対象は,小学5・6年生と中学1~3年生652名(小学生256名,中学生396名)であった。調査に用いた指標は「攻撃行動の捉え方尺度(H28年度に作成,「正当化」,「頻度・有用性」,「否定的認識」からなる)」,「小学生用P-R攻撃性質問紙(坂井・山崎,2004)」であった。そして,心理的不適応の指標として,児童の抑うつ傾向と不安傾向を測定する尺度を採用した。具体的には,パールソン児童用抑うつ性尺度(村田・清水・森・大島, 1996)と,STAIC(State-Trait Anxiety Inventory for Children; 曽我, 1983)から状態不安を測定する20項目を使用した。心理的不適応との関連について,各変数間の相関係数を算出したところ,小中学生ともに,攻撃行動の捉え方の「頻度・有用性」と「正当化」,攻撃行動,そして,抑うつ,不安の間に有意な正の関連が示された。この結果より,攻撃行動を支持する捉え方を持つことと,心理的不適応傾向に関連があることが示唆された。 また,2019年度に実施予定である攻撃性への介入研究の一環として,中学生105名(男子57名,女子48名)を対象に,ストレスマネジメント教育を実施した。ストレス反応の指標として,岡安・嶋田・坂野(1992)の中学生用ストレス反応尺度の短縮版を用いた。その結果,介入の前後で中学生のストレス反応の合計得点が有意に低下することが示された(F(1, 103)=66.69, p<001, r=.63)。 さらに,国内学会でのポスター発表に加え,Society for Research in Child Development 2019 Biennial Meetingでの発表を行った。
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