研究課題/領域番号 |
16K20943
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中野 優子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60648674)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 農業技術採用 / ランダム化比較試験 / タンザニア |
研究実績の概要 |
人口の約6-8割が農業に従事すると言われるサブサハラ・アフリカ(以下アフリカと略記)の経済発展および貧困削減には農業の発展が必要不可欠である。しかし、アフリカにおける穀物の単位面積当たりの収量は1960年から2012年の間に1.5t/ha から2t/ha に増加したにすぎない。アフリカでの低い土地生産性の要因として、近代品種や化学肥料の投入量が低いこと、また生産性を高める土地節約型の栽培技術の採用率が低いことが指摘されている。農家による技術の採用には、信用制約、市場へのアクセスなどが影響すると考えられるが、農業研修への参加は重要な要因の一つである。 本研究の目的はタンザニアのコメ栽培に焦点を当て、JICA による農業技術研修が技術の普及および生産性に与える効果を明らかにすることである。研修前後に家計調査によってデータを収集し、厳密な統計分析を行う。具体的には(1)研修で伝授された技術は研修農家の圃場において採用され、生産性を高めているのか、(2)農家間普及によって周辺農家にも技術は普及しているのかについて検証する。調査に当たっては近年開発経済学分野で多く採用されているランダム化比較試験(RCT)の手法を用いる。 JICA の研修は平成29年10月から平成30年5月にかけて行われている。平成29年度は研修前のデータ収集を現地調査によって行った。調査では基本的な家計調査の項目(家計構成、土地所有、所得等)に加えて、稲作技術の採用状況、収益、新技術の情報源、中核・中間農家との関係等についての詳細を独自の質問項目として加えた。また、RCTの実施には研修実施母体であるJICAとの緊密な連携が必要になるため、研修担当者との綿密な打ち合わせを行い、実験のデザインを決定して、調査地の選定及びサンプリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に研究代表者が産休を取得し事前調査が行えなかったため、JICA関係者とも相談の上、平成29年度に事前調査を行った。そのため、やや遅れもあるが、それ以外については概ね順調に推移している。本格的な分析については平成30年度に事後データを収集してから行うことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度中に事前データの収集は完了したため、今後は収集したデータから変数の計算等を行い分析用データの構築を行う。また、平成30年度に実施する事後調査が終わったあと、パネルデータを構築し、分析および論文の執筆と投稿を行う。併せて学会発表も行い、本研究課題で得られた成果を広める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が産休を取得したため、事前調査および事後調査が1年ずつ遅れた。そのため、平成29年度に予定していた国際学会での発表等に遅れが生じ、次年度使用額が生じた。次年度以降に分析を行い、研究発表等を行うための経費に充てる予定である。
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