研究課題
近年、新たな冷暖房システムとして、地下浅層の低温熱エネルギーである地中熱を利用した地中熱ヒートポンプシステムが、世界的に普及し始めている。このシステムは、今後の持続的な利用と発展が望まれているが、その稼働に伴う地下環境への影響は研究事例に乏しく、その詳細は明らかにされていない。本研究では、不飽和帯における二酸化炭素ガスの動態と複数の帯水層における地下水質に着目し、通常の冷暖房運転を含む、いくつかの稼動条件で地中熱ヒートポンプシステムを運転させ、その際の二酸化炭素ガスの動態と地下水質に、本システムの利用が与える影響を評価することを目的とした。最終年度は、まず暖房運転を模擬して、毎日朝8時30分~夕方17時30分まで、13℃程度もしくは7℃程度(いずれも、ピーク時の温度)の冷水をそれぞれ2~3ヶ月間、地中熱交換器に循環する試験を行った。その後、冷房運転として、室内エアコンを28℃に設定し、システムを2ヶ月間程度運転してきた。その結果、熱源となる地中熱交換器から水平距離で1 mの地点では、極めて小さな地下温度の変化は認められたが、大きな温度変化は確認されなかった。これより、短期的な冷暖房運転では、周辺地下の有意な温度変化は確認されず、本研究にて明らかにした、地下の温度変化と二酸化炭素の地表面放出量ならびに水質成分濃度変化量の関係性を考慮しても、周辺の地下環境には影響を及ぼさないことが明らかになった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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