| 研究課題/領域番号 |
16K20961
|
|---|
| 研究機関 | 千葉大学 |
|---|
研究代表者 |
中村 千尋 (渡辺千尋) 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (50737476)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
| キーワード | 経済史 / 移民史 / フランス |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究の目的は両大戦間期フランスの移民政策の過程を諸アクターの関係を通じて考察することにある。2年目にあたる平成29年度は、アクターのなかでも経営者団体・企業に着目してその動向を把握するための分析を行った。具体的には以下の3点である。
まず、基礎的な作業として経済史に関する先行研究を確認し、これまでの研究では1920年代および30年代に関してどのような議論がなされてきたのかを中心に論点の整理を行った。そのうえで、経営者団体、実業家に関する研究を整理し、産業界が社会・経済問題にいかに関与したのか、また移民政策、移民問題にはどのように対応していたのかを考察した。加えて、労働省の機関誌を利用して労働市場に関する基礎的なデータ（雇用需給、賃金、労働時間等）を収集、分析した。この機関誌では把握の難しかったデータについては、前年度の現地調査で得た資料を参照し、可能なかぎり体系的なものとなるように努めた。
以上の分析を通じて、両大戦間期の産業界の動向、産業界と移民政策の関係、労働市場の状況についてはある程度整理することができた。ただし、移民政策・移民問題に対して産業間に見られる認識の相違については分析が不十分であり、今後も引き続き検討する必要がある。分析の結果は、その一部を学会報告として発表し、そこで得られたコメントを改めて資料と照らし合わせ、実証度の向上に務めた。この成果は当該年度内に発表することはできなかったが、来年度以降に投稿を予定している。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は当初の予定ではフランスでの資料調査を予定しており、特に夏季休暇を利用して資料の閲覧・収集を計画していた。しかし、私的事情により渡航が困難となり、研究を一時的に中断せざるを得なくなった。とはいえ、先行研究を通じて今後の分析につながる重要な論点を把握することができたことから上記のような評価を行った。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後、研究を再開する際には遅れを取り戻すためにフランス現地で資料調査を実施し、その成果は学会報告、学術雑誌への投稿を通じて公表することにする。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は私的事情により研究を中断したため次年度使用額が発生した。この額は資料購入費・史料調査費として有効に使用することを計画している。
|
