当該年度は、両大戦間期フランスの外国人労働者の雇用実態を合理化との関係から検討することを課題とした。この課題に取り組むために、これまで作業を進めてきた外国人の雇用に関する統計資料の整理を継続して行うとともに、労働市場、雇用、社会保障に関わる制度の変遷を一次史料を通じて分析した。外国人労働者の雇用制度に関しては、二国間協定の枠組みが国内制度を規定していたことを踏まえ、フランスがヨーロッパの移民送出し国との間で締結した二国間協定の全体像の解明に努めた。そのうえで、主要国と結んだ二国間協定の運営過程を検討し、国内外の経済的・政治的状況の変化に伴い、外国人労働者に関わる制度がいかにして変容したかを検討した。 こうした検討の結果として、5月に社会経済史学会全国大会で報告を行い、そこでの助言を受けて更なる分析に努めた。また、6月にフランス労働省で開催された国際労働機関(ILO)に関する国際シンポジウムに参加し、ILOの研究成果を把握するとともに、研究者との交流に努めた。この滞在では、フランス国立図書館等で調査を行い、本研究にとって重要な資料を確認することもできた。さらに、8月にはパリとジュネーヴにおいて一次史料の調査を実施し、関連する史料を収集した。また現地の研究者と今後の共同研究に向けての意見交換を行なった。こうした現地での調査と平行して、論文の執筆も行い、近日中に投稿することを予定している。
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