本研究は、両大戦間期フランスにおける移民政策の過程を、関連アクターの関係性に焦点をあて考察することを目的としている。とりわけ一国史の枠組みを超えて、移民の保護をめぐり国際的に形成された諸アクターの関係性をフランスの視点から捉え直すことを目指すものである。 最終年度にあたる2022年度は、これまで収集してきた一次史料を整理、分析した。とくに第一次世界大戦後に移民保護をめぐり多国間で議論がなされたことに焦点をあて、フランスの移民政策に携わっていた政治家や官僚が国際労働機関(ILO)とどのような交渉を行っていたのかを検討した。この成果の一部は2022年6月に第2回経済学部研究会(中央大学)で報告した。そして1920年代30年代のフランスの移民政策とILOの活動に関する包括的な成果の発表に向けて執筆作業を進めた。
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