最終年度においては、国内の2自治体で働く訪問看護師を対象にした、コミュニケーションと離職の関係を検討するために、[研究1:職場内コミュニケーションと離職の関係の検証]を実施した。また、昨年度から実施していた[研究2:現場と共に作るプログラム開発」で開発されたプログラム(ポジティブ事例検討会の定期的開催)として、「研究3:プログラムの試行と評価」を実施した。
[研究1:職場内コミュニケーションと離職の関係の検証」:日本国内の2自治体の訪問看護ステーションを対象に、自記式質問紙調査を実施した。合計108訪問看護ステーション、677訪問看護師に協力を得た。訪問看護師の平均年齢は46.4±8.0歳、女性が98%であった。就業継続意向がある者は462名(68.3%)であった。訪問先で提供した看護についてのコミュニケーションツールとして、自ら口頭で伝える99.2%、看護記録88.1%、相手からの声かけにより伝える64.2%が日常的に使われているようであった。LINE等一般コミュニケーションツールも比較的使用されていた(44.5%)。
[研究2・3:プログラム開発・プログラムの試行と評価」:事例をベースにしたコミュニケーション促進を狙い、事例検討会の方法を開発した。東京都内の1訪問看護ステーションにおいて、2018年3月~8月の6か月間、月に1回の事例検討会を実施し、その効果を1群事前事後テストデザインでデータを収集した。その結果、ワークエンゲージメント等は有意な向上は認められなかったものの、訪問看護師・訪問看護ステーション管理者からは高い評価を得た。その評判を受け、訪問看護師向けの商業誌の編集者から雑誌での特集を組むことを提案された。 プログラムの普及のため、事例検討会を関連学会で発表し、また、雑誌上で方法や進め方のポイントなどを説明する機会を得て、訪問看護ステーションへの普及啓発に努めた。
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