本研究では,TwitterおよびFlickrの投稿データを大量に取得し,それを用いた地域分析を行った.具体的には,投稿時間・投稿場所・投稿者の属性(居住地など)・投稿者の興味対象を1セットとするデータを数百万件作成し,それに基づく多くの空間情報学的分析を行うことで,地域の来訪度・滞留度や,旅行客の居住地域と訪問先の相性,興味対象の時空間分布などを解明した.このように,SNSデータを用いてミクロな地域分析を網羅的に行う方法を確立し,従来の調査票データでは拾えない観光動向を明らかにした. また同時に,旅行者による観光地の確率的選択行動をモデル化し,それに基づく「施設(≒観光地)」配置問題を解析的に研究した.そのうえで,需要側(旅行者)の観光地選択行動と,供給側(観光施設オーナー)の観光投資の相互作用をモデル化した.さらにそのモデルに,観光地間の類似性および土地の容量制約を明示的に組み込み,観光地の多様な立地パターンを再現した.
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