研究課題/領域番号 |
16K20972
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮川 隆 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20721939)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 長塩基長非コードRNA / 放射線 / がん |
研究実績の概要 |
近年のがん治療分野の進歩において、非侵襲性という特徴をもち、かつ外科的手術が困難な患者にも適応可能な放射線治療が注目されている。治療成績自体も外科的手術と放射線治療で次第に変わらなくなってきてもいるためさらに注目を集めている治療法でもある。その反面、放射線の効果は個人差を有することもまた事実であり、放射線治療が利きずらい方、放射線の副作用が強く出てしまう方も一定数出てきてしまうこともある。こういった方々への放射線治療はできるだけ前もって避けることでより効果のある違う治療法を選択することができ、より効率的にがん治療を進めることが可能となる。そのため、治療前にあらかじめ治療効果を予測できるようなバイオマーカーの確立が急務である。これまでは主にタンパク質マーカーの確立研究が推進されてきた。本研究においては、タンパク質の鋳型とならない非コードRNA、その中でも機能がほとんどまだわかっていない長塩基長非コードRNAをターゲットとしてこれまでになかった斬新な観点からバイオマーカー確立を志向した。近年のゲノム研究によって、DNA上のタンパク質をコードする部分ではない領域から大量の非コードRNAが作られてきており、それらがタンパク質とならずにRNAのままで生体内に存在し、重要な生理機能に関わっていることが徐々に明らかになってきた。そのため、本研究によって得られたこれまでになかった視点からの成果につながることが期待される。本年度においては培養細胞に放射線を照射し、定量PCR法を用いて放射線照射によって発現様式が変化する長塩基長非コードRNAを探索することを目指した。その結果、放射線に応答する長塩基長非コードRNAをいくつか同定できた。さらにその中のいくつかは放射線に特異的に反応する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射線照射前後で発現変化する長塩基長非コードRNAをいくつか同定することができたので、点段階ではおおむね順調に進んでいるものと考えられたため。
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今後の研究の推進方策 |
放射線照射前後で発現変化する長塩基長非コードRNAを引き続きいくつか同定していく予定である。できるだけ多種類同定することで幅広い観点でのメカニズム解明につながることが期待される。こういった発現変化する長塩基長非コードRNAの同定がある程度進んだ時点で、その発現変化した長塩基長非コードRNAに対して蛍光in situ hybridization法を適用することで細胞内局在変化を調べる予定である。
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