研究実績の概要 |
本年度は2017年2月に渡英しノーサンプトンシャー文書館、英国図書館およびエディンバラ大学図書館にて資料調査を実施した。本研究の遂行にあたっては18世紀イギリス政治史および思想史の史料を分析することが不可欠であり、今回の調査によって多くの成果を得ることができた。また、これに先がけて2016年5月には、経済学史学会(処:東北大学)で研究報告(報告タイトル:エドマンド・バークの経済思想を再考する:自由市場・社会秩序・戦争)を行ない、また、同年6月には「歴史と人間」研究会(処:一橋大学)にて同じ報告タイトルの研究報告を実施している。また、同じく2016年6月には渡米して、米国の経済学史学会(History of Economics Society, Duke University)にて研究報告(報告タイトル:Chains of Order, War and Spirit: Rethinking of Edmund Burke’s Political Economy)を実施した。さらに『経済学史研究』(58巻、経済学史学会)に論文「征服と交流の文明社会史-初期バークと近世ブリテンにおける歴史叙述の系譜」を掲載した他、依頼のあった英文書評「Book Review: Daniel I. O’Neill, Edmund Burke and the conservative logic of empire」を Intellectual History Review 誌 (vol. 27) に公刊した。英国での資料調査の成果もあって、18世紀の政治経済思想における戦争論の特徴が明らかにされつつあり、今後はバークの経済思想および戦争論の特徴をスミス、タッカーらとの比較を通じて明らかにすることで、イシュトファン・ホントのいわゆる「貿易の嫉妬」の議論に新たな側面を付加することを研究の焦点としたい。
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