研究課題/領域番号 |
16K20980
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤倉 哲郎 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (70722825)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 農村研究 / 非農業就労 |
研究実績の概要 |
農村研究に関する文献収集とレビュー、農業・農村センサス等の統計資料収集と分析により、分析枠組み・調査枠組みの確立を図りつつ、メコンデルタでの農村出身労働者への聞き取り調査、および本研究課題の調査方法に重要な示唆を与える紅河デルタ農村調査への参加を実施した。 2016年は、過去10年ほどのベトナム農村研究の成果がいくつか発表され、文献レビューにとっては好条件となった。とりわけ、本研究課題の調査対象に隣接するメコンデルタ農村に関連した著作である『ベトナム「新経済村」の誕生』が、近年の都市化・工業化とともに流動化する農村の実情を描いていることから、大いに参考となった。また、分析・調査枠組みの確立に際しては、以前よりメコンデルタ農村調査での協力関係のある他大学のベトナム研究者に協力を得て、具体的な調査方法、仮説の設定などについて打ち合わせを実施した。 加えて5年に1度実施されている、紅河デルタに位置する行政村内一集落の全世帯に対する就労・家計調査に参加することを通じて、ベトナム国内で地域が異なるものの、農村における農業経営状況と家族成員就労状況に関する最新の動向に接し、本研究課題の調査方法への重要な示唆を得た。とりわけ、本研究課題の調査対象地域と同様に、小規模な家族経営が卓越するなかで、農村内もしくは周辺での非農業就労の機会が、中高年以上が主体となる農業、世帯の暮らしぶり、ひいては農村社会の維持にとって、ますます重要性を高めている状況をうかがい知ることができた。 これらのレビューや関連調査の結果、高度経済成長期の20年を経た現状をかんがみると、デルタ地域の社会経済開発の課題において、貧困が決定的な問題ではなく、いかに中小規模の農家が今よりも所得向上を図れるかが重要な点であることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初1年目に計画していた、2年目以降の本格調査のためのベトナム側協力機関との打ち合わせおよび予備調査を実施することができなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
1年目に計画していたベトナム側協力機関との打ち合わせおよび予備調査を、夏季8~9月に実施し、年度末春季2~3月に本調査を実施できるよう、6~7月中にベトナムが協力機関との綿密な打ち合わせのもと準備する。また、引き続き、協力関係のある他大学ベトナム研究者からの助言および紅河デルタ農村調査チームメンバーとの意見交換を実施し、調査・分析枠組みの確立を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初1年目に計画していた現地調査が未実施のため、かかる海外旅費、人件費・謝金が未支出となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
1年目に計画していた現地調査を、夏季8~9月に実施する。本来2年目に予定していた本調査は、春季2~3月に実施する。
|