研究課題/領域番号 |
16K20980
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
藤倉 哲郎 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (70722825)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 農村研究 / 果樹農業 / 非農業就労 / 農村金融 |
研究実績の概要 |
メコンデルタ・ティエンザン省チョガオ県X村にて予備調査(9月)および本調査(3月)を実施した。予備調査において、農業局ならびに調査対象の行政村役場にて、本調査の設計に必要な基本情報の収集を行った。この予備調査において、研究代表者が当該農村において2014年に調査した内容と比較すると、当時耕地の半分近くを占めていた稲作および畑作栽培がほぼ消滅し、ドラゴンフルーツを主要作物とした果樹栽培に取って代わられているという、急激な変化を確認した。そこで、本調査においては、予備調査でみとめられた変化に際して、①主要な果樹栽培自体の内容の変化、②作物転換において農家がどのように資金調達をはかったのか、③この資金調達に際しての非農業就労者である戸主子弟の収入との関係、④土地の賃貸状況に焦点をあてて、調査内容を設計し戸別調査を実施した。本調査は、調査対象となったティエンザン省チョガオ県X村の4集落のうち、生態環境および非農業部門の就労構造が対照的な2か集落を選定し、それぞれ60世帯、計120世帯に対する調査を実施した。詳細なデータ分析は未了ながらも、上記の諸点に関して、次のような知見を得た。①ドラゴンフルーツ栽培への転換は、より市場価値の高い品種の選択とともに広がっており、おなじドラゴンフルーツ圃場を用いたより市場価値の高い品種への乗り換えも起こっていた。②資金調達の方法は多様であり、農業銀行からの優遇金利での借り入れが多数をしめつつも、民間金融(無尽講)、親族からの無利子貸与なども多くみられた。③資金調達において賃金収入を得ている子弟からの支援も一部に見られたものの、大半はこれまでの農業収入(稲作および畜産)で得た自己資金に拠っている。④高齢者世帯からの土地の貸出しがみられた。このほか、ドラゴンフルーツ栽培関連の雇用労働機会の増加、圃場整備を請け負う業者の出現などあらたな発見があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の進捗状況(やや遅れている)を取り戻すために計画した予備調査、本調査を計画通り実施することができ、また本調査においては、戸別調査から得られるものと期待していた水準のデータを入手することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の本調査によって収集した世帯データの整理と分析を実施するとともに、夏季に追加調査を実施する。おもな追加調査課題は、上記「研究実績」にて得られた知見に対して、農業行政の役割を明らかにすることである。そのために、地方省および県レベルの農業振興策、村落レベルの関連施策を調査(おもに農業政策実務担当者、村落有力者へのインタビュー)を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査費用の実際額が見積額を下回ったため。おもに最終年度の現地調査費として使用する。
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