本研究は産業組織論の構造推定アプローチをヘッジファンド産業と消費者の決済産業という金融に関わる産業に応用し分析し,以下の結果を得た.金融安定理事会が提唱するような解約条項を厳しくするようなヘッジファンド規制を導入すると,特定の投資戦略を用いているファンドは現在のようなリターンをあげるようなことができなくなり,投資家は投資を控えるようになることを定量的に示した.決済産業に関しては,今後出てくるであろう(測定誤差を含んでいるであろう)ビックデータを用いて分析する際に,本来選べない選択肢を選べると仮定し推定することで,推定値が望ましい性質を満たさなくなることを示し,さらに,その解決策について示した.
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