研究課題/領域番号 |
16K20990
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研究機関 | 松蔭大学 |
研究代表者 |
青山 慶 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60736172)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コミュニケーション / リビング / 群棲環境 / アフォーダンス / 発達 / 模様替え |
研究実績の概要 |
本研究課題は、生態学的観点から(1)実際に乳幼児が生活している家でのライフログデータを構築・視覚化すること、(2)ライフログデータの分析を通して、発達を取り囲む環境的資源がどのように原初的コミュニケーション発達に寄与しているのかを解明することを目的とする。そのために研究期間内に「行動観察からの原初的コミュニケーション場面のライフログデータの構築」「原初的コミュニケーション発達を支える環境的資源の解明」「原初的コミュニケーション発達の総合的理解のための視点の検討」という3つの具体的な目的を置いた。平成29年度は、①昨年度に引き続きライフログデータを取得すること、②そして昨年度検討した分類に従ってコーディングを行う予定であった。①のライフログデータの取得に関しては、研究協力家庭の引っ越しなどに伴うシステムの再構築などもあったが全体として順調に進んでおり分析に十分なデータが収集された。②のデータコーディングに関しても、先行研究に依拠した分類をもとにある程度の成果を得ることができた。その一部は松蔭大学紀要論文「積木遊びに見られる養育者の働きかけ方略に関する考察」として発表された。また、当初想定されていた以上に乳幼児の発達に伴い家具の配置換えが生じておりそれが原初的コミュニケーションに影響を与えていることが示唆された。こうした観点を分析に取り入れることが検討され、その結果の一部は日本認知科学会第34回大会において「乳幼児の住む家における家具の配置の変遷と行為発達」、日本発達心理学会第29回大会において「移動の開始を包囲する凹凸に関する研究」として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究概要でも述べたように、平成29年度は、①昨年度に引き続きライフログデータを取得すること、②そして平成28年度中に検討した分類に従ってコーディングを行う予定であった。コーディング及びそれに基づく分析は一定の成果を得ることができ、その結果は学会発表および紀要論文として公表された。しかし、平成29年度より研究代表者が所属研究機関を異動することとなったため、データ分析のための設備の再構築が必要となり、当初予定していた分析作業に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
研究設備の再構築に関しては一部を除き完了したため、平成30年度は当初の予定通り「原初的コミュニケーション場面の可視化」および「コミュニケーション発達の総合的理解のための視点の検討」へと研究を進めていく予定である。特に、平成29年度に明らかとなった大規模中規模の部屋の模様替えを分析に取り入れるための枠組みの検討と整備、また再構築が未完了である分析環境の整備を速やかに行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属研究機関の異動に伴い研究環境の再構築が必要となり、研究の一部に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。研究環境の再構築が整い次第、早急に遅延が生じた分の研究を進める予定である。
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