乳幼児施設で実施されている施設外散歩は,公園などの目的地までの移動が運動量の面で重要であることは言うまでもないが,街路環境の多様な特性が知覚や認知の発達資源となっている可能性がある。本研究では,認定こども園における散歩場面について、縦断的にフィールドワークを行い,ビデオデータを収集し、移動時の姿勢と環境特性との関係について生態学的見地から明らかにすることを目的とした。前年度までに動画データの収集・分析を完了しており、最終年度はまず得られた結果に対して、生態心理学および幼児教育・保育学関連の研究会を通してその理論的・実践的意義を再検討した。そして、それをふまえた総括を行い、成果報告を実施した。研究領域ではOMEP Asia Pacific Regional Conferenceや、日本質的心理学会第16回大会等で報告を行った。また、社会的還元として、JICAの乳幼児保健分野における国際支援活動の一環としてタイ・バンコクで開催されたAgenda of Primary Daycare improvement workshop (3 months -3 years) Leads to Excellent Breastfeeding Learning Centerでの講演や、保育環境構成に関する書籍(分担執筆)を通して、屋外環境や散歩活動の重要性について、保育・幼児教育の実践者に向けて成果発信を行った。
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