研究課題/領域番号 |
16K21019
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
松浦 孝典 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20755863)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯周治療 / 骨補填材 / 歯周再生医学 |
研究実績の概要 |
我々の研究室では、筒状のβ-TCPを多数焼結させたブロック状の多孔質骨補填材が歯周組織再生、特に骨再生に有効であることを見出した。一般的に骨補填材などの人工材料は感染に弱いとされているが、感染の影響を報告した研究はほとんどない。再生した歯周組織をいかに持続させるかが、自身の歯を残す上で重要となってくる。無菌化できない口腔内環境で歯周炎が再発するリスクはゼロとは言えず、再生した歯周組織の変化やその予後は不明である。そこで再生した組織に歯周炎を惹起させ、その炎症の波及について評価することを目的とし研究を進めている。 平成28年度では、本研究モデルを確立するために必要な結紮糸誘導歯周炎を利用した予備実験を行なった。この予備実験に関連する内容を第81回日本口腔病学会学術大会で報告した。そして本実験ではビーグル6頭の抜歯を終え、4頭までの欠損作製と骨補填材填入が進んでおり、絹糸を挿入するまでの治癒を待っている。あらかじめ下顎両側第1前臼歯と第3前臼歯を抜歯することで欠損スペースを作り、抜歯から12週後に両側下顎の第2前臼歯遠心と第4前臼歯近心に3壁性の骨欠損を作製した。材料は3種類の骨補填材を無作為に振り分けて補填した。術後2週での抜糸時に創の離開などの異常所見は認められず、術後の経過は良好である。次年度は引き続き実験を進め標本採取を行い、組織学的な評価および得られたデータを分析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、様々な骨補填材を利用して再生させた組織に歯周炎を惹起させることを目的とした。しかし大型動物の1度あたりの飼育数に上限があること、また他研究との兼ね合いから、本実験開始が冬季となった。そのため、平成28年度内にデータ採取まで進められなかった。しかしながら、予備実験により結紮糸による歯周炎惹起の術式・及び経時的な変化が把握できた。これに関連した結果を国内学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
現在は本実験の欠損作製・骨補填材填入手術まで進んでいる。 次年度は追加で必要な実験材料を購入し、引き続き動物実験を進めていきデータを採取・分析していく予定である。 また、平成28年度に得られた予備実験の結果に関しては論文投稿中である。
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