研究課題
本研究は、再生した組織に歯周炎を惹起させ、その炎症の波及について評価することを目的としている。平成28年度では、本研究モデルを確立するために必要な結紮糸誘導歯周炎を利用した予備実験を行なった。この予備実験に関連する内容を第81回日本口腔病学会学術大会で報告した。この内容は平成29年度に査読のある国際誌であるOdontologyに投稿・受理された。本実験ではビーグル6頭の下顎両側第1前臼歯と第3前臼歯を抜歯することで欠損スペースを作り、12週後に両側下顎の第2前臼歯遠心と第4前臼歯近心に3壁性の骨欠損を作製した。骨欠損には3種類の骨補填材を無作為に分けて補填した。そして12週後に絹糸を挿入した。歯周炎を惹起させてる間、著しい歯肉の腫脹・出血などの炎症所見を認めた。また経時的にデンタルX線写真を撮影することで軽度な骨吸収も確認した。一定期間炎症状態に置いた後に、抜糸を行った。そして急性症状が和らいだ後に標本を採取し、組織切片の作製を行った。平成30年度はmicroCT、および作製した組織切片から各種パラメータを計測し、統計処理を行なった。β-TCP群では、異種骨群や自家骨群よりも大きな骨吸収が認められたが、統計学的には歯周炎による組織破壊の材料による差は認められなかった。また、組織学的には、術後12週で自家骨とほとんどの人工骨は完全に吸収・置換されていたが、異種骨は全ての組織で残存していた。歯根周囲に残存した異種骨顆粒の間および周囲には結合組織が広範囲に入り込んでいる所見が得られた。この成果内容について秋季日本歯周病学会でポスター発表を行なった。現在国際誌への論文投稿の準備を行っている。
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Journal of Periodontology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/JPER.18-0574
Journal of Periodontal Research
巻: 54 ページ: 278~285
10.1111/jre.12628