研究課題/領域番号 |
16K21024
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
村田 実貴生 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60447365)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 応用数学 / 解析学 / セル・オートマトン / 反応拡散系 |
研究実績の概要 |
従前の研究において、パターン形成の数理モデルであるような反応拡散系であるグレイ・スコットモデルを元にセル・オートマトンを構築した。そのセル・オートマトンの拡張を考えることにより反応拡散現象を表す新しいセル・オートマトンの一群を構築する。微分方程式は連続的に状態を表現するモデルであるから、得られるパターンも連続的なものとなるが、セル・オートマトンは離散的に状態を表現するモデルであり、微分方程式では表せないような反応を表現することができる。その結果として、構築したセル・オートマトンの中には微分方程式のセル・オートマトン化では得られないようなパターンを形成するセル・オートマトンも存在すると考えられる。 「連立型反応拡散セル・オートマトン」の最も簡単な場合は2つの変数が2つの状態のみを取るものであり、ある場所のセルの状態が4つ(2×2)の状態しかないことから、反応を表すルールの種類が256種類(4の4乗)になる。そして、拡散の度合いを表すパラメータの値を変えるごとに異なるセル・オートマトンになる。そこで、本年度ではその中で、「一方の変数には拡散がなく、もう一方の変数に最近接のセルにのみ拡散する場合」の256種類と、「両方の変数が最近接のセルにのみ拡散する場合」の256種類を調査した。これは2変数の反応拡散方程式では「一方の変数には拡散項がなく、もう一方の変数にのみ拡散項がある場合」と「両方の変数に同じ拡散係数をもつ拡散項がある場合」に各々対応すると考えられる。このセル・オートマトンについて、基本的なパターンによる分類、拡散度の変化に伴うパターンの変化、パルス型進行波やフロント型進行波の構成、大域解の構成を行った。対応すると考えられる微分方程式の解と比較して、相違点を明らかにする。得られた性質により、構成したセル・オートマトンを分類する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では「連立型反応拡散セル・オートマトン」の最も簡単なものの中で、「一方の変数には拡散がなく、もう一方の変数に最近接のセルにのみ拡散する場合」の256種類と、「両方の変数が最近接のセルにのみ拡散する場合」の256種類を調査することにしていた。このセル・オートマトンについて、基本的なパターンによる分類、拡散度の変化に伴うパターンの変化、パルス型進行波やフロント型進行波の構成、大域解の構成を行うこと、対応すると考えられる微分方程式の解と比較して、相違点を明らかにすること、得られた性質により、構成したセル・オートマトンを分類することを本年度の研究計画としていたが、おおむね、それらの計画を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に研究を実施した「連立型反応拡散セル・オートマトン」を空間2次元や3次元に拡張したセル・オートマトンを構成する。このセル・オートマトンについて、基本的なパターンによる分類、拡散度の変化に伴うパターンの変化、パルス型進行波やフロント型進行波の構成、大域解の構成を行う。空間2次元の場合は離散点を正方格子上にとる以外に三角格子、六角格子上にとる3種類が考えられ、最近傍のセルの個数が異なる。これらの各格子でパターンを解析し、共通点・相違点を調査する。
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