本年度は、主に以下の事項について研究を進めた。 (1)絶滅危惧植物の局所絶滅率の区域による差異について、さらに分析を進めた。また、この成果について、国内外の共同研究者と議論を進め、投稿論文の執筆をすすめた。(2)昨年度までに収集できていなかった各公園の管理主体の社会特性に関するデータについて整備をすすめた。該当データは、関連省庁から借用できた資料から必要情報を抽出することにより可能な限り収集を済めた。しかし、当初想定していた特性のうち、特に先行研究でも重要と考えられ、研究実施者も有効な指標であると想定していた「担当職員の人数」等については、情報提供の内諾を年度当初にうけ継続的に確認の連絡をしているものの、提供を受けらなかった。収集できたデータを用いて、初年度に作成した各国立公園の保全有効性の指標との関係を分析したものの、これまで明瞭な関係は見られていない。(3)各国立公園の保全有効性との指標と明瞭な関係をしめす取得済みの社会特性を見出すことはできなかった。このため予定していた各公園の診断は実施できなかったものの、情報提供の内諾が得られている管理主体の社会特性等、今後の情報拡充後の利用を想定し、有効性を効率よく強化する上で改善が望ましい社会的特性を推定する枠組みの検討をおこなった。(4)将来的により多面的な管理主体の社会特性の評価と保全有効性の程度の関係を検討することを目途として、地域制の自然公園制度をもつ国内での管理有効性の指標の検討も行った。
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